2018年12月13日

あかぽっぽ救った、小笠原の10年 「最短22年で絶滅」、島民動かした【朝日新聞デジタル2018年12月13日】

アカガシラカラスバト=小笠原自然文化研究所提供

 世界自然遺産の小笠原諸島で十数年前、国の天然記念物アカガシラカラスバトが絶滅のふちに追い込まれた。人間が島に持ち込んで野生化した野ネコが主な原因だった。危機を救ったのは、島民らが進めた保護活動。その10年におよぶ保護活動の記録が1冊の本にまとまった。

 4月に出版された「小笠原が救った鳥―アカガシラカラスバトと海を越えた777匹のネコ」(緑風出版)。島民でもあった横浜市のライター有川美紀子さんが書き下ろした。

 アカガシラカラスバトは「頭上がぶどう赤褐色」の小笠原諸島に分布する固有種のハト。「あかぽっぽ」の愛称で親しまれてきた。環境省が2000年ごろに発表した推定個体数はわずか「40羽程度」。環境省版レッドリストでも最も絶滅の恐れの高い「絶滅危惧1A類」に分類されていた。

 ■原因は野ネコ、証明

 当時、実物を見たという島民も少なく、絶滅危惧種といっても関心は低かった。しかし、小笠原海洋センター職員だった堀越和夫さんら3人が立ち上げたNPO法人「小笠原自然文化研究所」(通称アイボ)の撮った1枚の写真が、島民や行政を動かし始めた。

 自分の体の倍以上あるカツオドリをくわえた野ネコの写真。2005年、母島に仕掛けた自動撮影機がとらえた。海鳥の営巣地付近で海鳥の死体が相次いで見つかり、営巣地は消えかけていたという。「本当にネコが襲ったのか」「イタチじゃないのか」という声もあったが、この1枚が証拠になった。

 アカガシラカラスバトを襲おうとする野ネコも目撃された。ワナを使った本格的な捕獲が始まり、東京都獣医師会の協力を得て、野ネコを本州に送って飼い主探しをする仕組みも作った。

 「島の未来を決める場に住民を参加させる」の方針のもと、08年1月、アイボが中心となってアカガシラカラスバトの保全計画を話し合う国際ワークショップを開いた。海外からの参加者を含め約120人が集まり、3日間話し合った。「何も手を打たなければ、最短で22年で絶滅」。シミュレーションを聞き、島民の意識も変わった。

 ■40羽→400羽に回復

 世界自然遺産に登録された11年ごろから、アカガシラカラスバトの若鳥が生活圏に姿を見せ始めた。あちこちに群れも現れて、島民を驚かせた。約40羽に減ったアカガシラカラスバトはいま、推定300〜400羽いるという。

 野ネコによる被害は他の離島でも問題になっている。鹿児島県奄美大島や徳之島では天然記念物のアマミノクロウサギなどの固有種が襲われ、国や自治体が捕獲に取り組んでいる。

 アイボ創設メンバーの鈴木創さんは「島民に関心をもってもらうことが、いかに大切か痛感している」。本を著した有川さんは「行政主導ではない、島民一人ひとりの意識改革、努力が10年の保護活動を支えた。そのことを伝えたかった」。最後の野ネコが東京に運ばれるまで取材を続けるつもりだという。(佐藤善一)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13810696.html

http://archive.is/BmYui

posted by BNJ at 21:12 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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