2019年01月10日

国立公園の生態系、観光客が守る ツアー料金上乗せ【日本経済新聞2019年1月10日】

環境省は全国に34ある国立公園で、生態系保護を観光客に支えてもらう取り組みを本格化させる。専門ガイドによるツアー料金の一部を保護活動などに充てるほか、希少生物の生息地などに立ち入る際に入場料を徴収する。一部の国立公園で生態系保護の新たなツアーを試行すると、外国人客を中心に好評だった。2020年までに15カ所以上で導入する計画だ。

研究者が捕獲した野生のオオサンショウウオを観察する観光客(大山隠岐国立公園)=環境省提供

国立公園内の貴重な自然を守る費用は国や自治体が負担している。国が国立公園の自然保護にかける金は100億円ほどで、国民1人当たり約80円にすぎない。財政難で国も自治体も予算確保に苦労している。

国立公園の来訪者数は16年で約3億5900万人。1991年の4億1500万人をピークに減り続けたが、徐々に回復している。環境省は国立公園にしかない自然や景観は訴求力が高いとみており、観光客に資金協力を求めながら自然保護との両立を目指す。

大山隠岐国立公園(鳥取、島根、岡山県)では、特別天然記念物の野生のオオサンショウウオを生息地で観察するツアーを試験的に実施した。日本の固有種で世界最大の両生類について、研究者やガイドと一緒に生息地まで行く。調査のために研究者が野生のオオサンショウウオを捕獲、個体識別の標識を取りつける様子などを間近で観察することもできる。

料金は7万〜10万円するが、欧米からの訪日客を中心に人気が高い。米英の旅行会社から問い合わせがあり、再開する19年春の予約が入っている。

料金のうち数万円が研究者に生息調査などの資金として支払われるほか、産卵のための巣穴づくりなど保護活動に1千円を使う。

阿寒摩周国立公園(北海道)では、特別天然記念物のマリモを観察するツアーを19年中に試験的に始める。湖の北部の生息地に舟で渡り、岸辺を歩きながら湖底のマリモを観察する。現在は水槽のマリモに限っている。

ガイド料から1千円ほどをマリモの保全活動の資金に充てる。保護活動の一環として、マリモに悪影響を及ぼす水草の除去にも取り組む。

国立公園に入る観光客に保護活動のための料金を別途求める動きも始まった。妙高戸隠連山国立公園(新潟、長野県)では10月、妙高山と火打山の登山者に500円の協力金を求めた。3週間実施したところ、登山客のほぼ75%が支払い、146万円が集まった。20年にも制度として導入する。

絶滅の恐れがあるライチョウの生息調査や生態系を守るための植生の維持、登山道の整備などに使う。従来は自治体の予算で進めてきたが、十分にできていなかった。

西表石垣国立公園(沖縄県)でも、竹富町が19年4月から竹富島に来る観光客に対し、1人300円を徴収する。9000万〜1億5000万円集まる見通しで、南国を象徴する花のデイゴなどの保全に活用する。

欧米の国立公園では入域料を徴収することが一般的だ。例えば米国のヨセミテ国立公園では1人につき2200円程度を課している。年間パスポートも発行しており、7600円程度だ。環境保全の経費として活用しており、観光客の満足度も高いとされる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39840430Q9A110C1MM0000/

http://archive.is/4qukm

タグ:ライチョウ
posted by BNJ at 21:15 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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