2019年01月30日

東京大改造 第二東京湾岸道が18年ぶり再始動、ルートに火種も【日経xTECH2019年1月30日】

 国土交通省は、東京と千葉を結ぶ「第二東京湾岸道路」の整備に向け、18年ぶりに検討を再開する。建設ルートの有力候補とされていた東京湾奥部の浅瀬・干潟「三番瀬」の埋め立て問題を受け、これまで検討が中断していた。

 石井啓一国交相が1月17日、湾岸地域の渋滞緩和を求める千葉県の森田健作知事と会談し、「第二湾岸道路を中心とした検討を加速したい」と表明。新たな検討組織を立ち上げる方針を示した。

 検討組織では第二湾岸道路のルートや構造などを議論するとみられるが、三番瀬の環境問題を巡る住民の反対運動が再燃する可能性もある。


三番瀬の干潟。三番瀬の埋め立て問題を受け、第二東京湾岸道路の検討は20年近く中断していた(写真:千葉県)

埋め立て中止で道路整備も宙に
 第二湾岸道路は、千葉県が1990年ごろから整備を要望し、国が94年に地域高規格道路の候補路線として指定した。

 当時の構想では、首都高速湾岸線や東関東自動車道などで構成する「東京湾岸道路」の南側(海側)を通り、東京都大田区と千葉県市原市を結ぶ延長約50kmの幹線道路とされていた。


国土交通省川崎国道事務所が作成した道路整備図。2005年4月時点の東京湾岸道路などの整備状況を示した図に、第二東京湾岸道路の大まかなルートも示している(資料:国土交通省川崎国道事務所)
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 千葉県によると、当初の構想では県が市川市と船橋市に面した三番瀬の740haを埋め立て、商業施設や下水道終末処理場などを整備し、国が主体となって中心部に第二湾岸道路を通すことになっていた。


千葉県が1993年に示した三番瀬の埋め立て計画を基に日経コンストラクションが作成
 しかし、県の環境調査委員会(補足調査専門委員会)が三番瀬の埋め立てについて「生態系への影響が大きい」と指摘。住民や環境保護団体の反対運動も活発になり、国会でも埋め立て問題がたびたび取り上げられるようになった。

 99年3月の衆院建設委員会では、当時の建設省の井上啓一道路局長が「千葉県の埋め立て計画の再検討の結果を踏まえて、埋め立て地を通過させるのかどうかというようなことも幅広に検討をしていきたい」と発言。第二湾岸道路のルート変更の可能性を示唆した。

 千葉県は同年6月、三番瀬の埋め立ての対象を当初の740haから101haに縮小し、第二湾岸道路のルートを陸地側に寄せる見直し案を発表した。

 しかし2001年、埋め立ての白紙撤回を公約に掲げて当選した堂本暁子知事が、9月に計画の中止を決定。以降、第二湾岸道路の建設を巡る国の検討も進まなくなった。

 千葉県はその後、三番瀬の再生を推進。06年に再生計画の基本計画を作成し、3次にわたる事業計画(06〜16年度)の下で、漁場の再生や護岸の整備などに取り組んできた。

WGで高規格道路の必要性を指摘
 一方で、千葉県は湾岸地域の慢性的な渋滞などを理由に、第二湾岸道路の必要性を主張。三番瀬の再生計画に配慮する方針を示したうえで、堂本知事時代(01〜09年)も含め、一貫して国に計画具体化の要望を続けてきた。

 13年には国交省関東地方整備局や東日本高速道路会社、首都高速道路会社、千葉市とともに、「千葉県湾岸地域渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ(WG)」を設置。これまでに8回の会合を開いて、渋滞緩和策などを検討してきた。

 18年3月に開いた第8回会合では、道路ネットワークの早期実現を図るため、高規格道路の必要性を検討して整備計画を作成する方針を示している。この方針が、第二湾岸道路の具体化に向けた検討の再開につながった。


2018年3月に開いた千葉県湾岸地域渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ第8回会合では、湾岸地域で高規格道路の必要性を検討して整備計画を作成するとしている。図中央の短い曲線の矢印が示す機能軸が第二東京湾岸道路を示すとみられる(資料:国土交通省千葉国道事務所)
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 国交省によると、これまで第二湾岸道路の検討を中断していたのは、千葉県が三番瀬の埋め立てを白紙に戻したからではないという。

 「湾岸地域の渋滞緩和を目的に、いきなり第二湾岸道路を造るのではなく、混雑が目立つ国道357号の立体化などを進めながら、千葉県などとWGを作って対策を強化してきた。それでも、依然として渋滞が発生していることから、WGの第8回会合で高規格道路を検討する必要があるとの結論に至った」(国交省関東地方整備局)。

 国交省や千葉県にすれば、第二湾岸道路の整備に向け、きちんと手順を踏んできたというわけだ。そのうえで、満を持してトップ会談に臨んだとみられる。

WG会合後に環境団体の警戒強まる
 ただ、かねて三番瀬の埋め立てに反対してきた環境保護団体などは、第二湾岸道路への警戒を強めている。

 実は、環境団体は18年3月の第8回会合の結論を見て、いち早く第二湾岸道路の具体化に向けた動きを嗅ぎつけた。

 千葉県が同年11月、三番瀬の再生について住民らと意見交換する「三番瀬ミーティング」を開いた際には、出席した県の環境部局や道路部局に対して第二湾岸道路の整備と三番瀬の再生計画との関係を問うとともに、県環境部局にWGへの参加を要請した。

 WGは国交省や千葉県などの道路・交通部局で構成されており、県などの環境部局は参加していない。環境団体としては、県の環境部局をWGに参加させることで、第二湾岸道路の整備計画に自分たちの意見を反映させたいと考えている。

 環境団体はもともと、千葉県の堂本知事(当時)が三番瀬の埋め立てを中止した後も、第二湾岸道路への警戒を緩めていなかった。県が一貫して国に計画具体化を要望してきたことを知っているからだ。

 千葉県が11年度から毎年開いている三番瀬ミーティングでは、環境団体から第二湾岸道路の整備と三番瀬の再生計画の関係を問う声が頻繁に上がっている。環境団体の間では第二湾岸道路が三番瀬を通ることに反対する意見が多い。


三番瀬再生計画の構成(資料:千葉県)

三番瀬を避けるルートの可能性も
 国交省は今のところ、「第二湾岸道路の計画は全くの白紙。かつての第二湾岸道路の構想とは違うものになるかもしれない」としている。

 石井国交相が森田知事との会談で、「第二湾岸道路を中心とした」という表現を使っているのも、そうした含みを持たせているとみられる。

 国交省や千葉県などが湾岸地域の高規格道路の必要性を指摘したWG第8回会合の配布資料からも、同様の含みが読み取れる。

 配布資料には、渋滞緩和策の検討が必要な「機能軸」として3つの矢印を図示。そのうち、第二湾岸道路を示すとみられる湾岸沿いの矢印は三番瀬を通過せず、先端が三番瀬のすぐ手前に描かれている。

 矢印は第二湾岸道路のルートを示すわけではないが、その描き方は住民や環境団体への配慮とともに、ルート見直しの可能性も示唆している。


WG第8回会合の配布資料の一部。第二湾岸道路を示すとみられる湾岸沿いの矢印(左側)は三番瀬(赤丸)を通過せず、先端がすぐ手前に描かれている。オレンジ色のエリアは渋滞発生箇所。国交省千葉国道事務所の資料に日経コンストラクションが赤丸を加筆
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 その一方で、従来の構想と似たルートを検討する場合、第二湾岸道路が三番瀬の付近を通る形になる可能性がある。

 三番瀬の付近には、東京外かく環状道路と首都高速湾岸線、東関東自動車道を結ぶ高谷ジャンクション(JCT)がある。湾岸地域の渋滞緩和などを図るには、第二湾岸道路を高谷JCTで他の幹線道路につなげるのが合理的だ。従来の構想もそうなっていた。

 ただ国交省としても、いたずらに住民や環境団体を刺激するのは避けたい考えだ。

 三番瀬の再生計画に配慮するルートとして、(1)三番瀬をまたぐ長大橋を架ける(2)三番瀬の地下にトンネルを掘る(3)三番瀬の区間だけ内陸側か海側を通す(4)三番瀬の手前で他の幹線道路につなげる(三番瀬の区間は道路を新設しない)――などの腹案を持っているが、具体的な検討をしているわけではない。
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00110/00064/

http://archive.is/yTz3Y

第二東京湾岸道路、18年ぶり計画再始動 地元では驚き【朝日新聞デジタル2019年1月18日】

タグ:三番瀬 開発
posted by BNJ at 21:13 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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