2019年02月15日

コハクチョウ 離れて撮って 本紙掲載写真 マナー違反でした【中日新聞2019年2月15日】

加賀・柴山潟
 石川県加賀市の柴山潟干拓地に飛来したコハクチョウの記事を六日付本紙かが白山版に掲載すると、同市片山津温泉の本紙読者の女性(67)からおしかりの電話を頂いた。「撮影マナーを守らない人を助長している」。掲載写真を市鴨池観察館の担当者に見せたら、「コハクチョウは初期の警戒状態」と駄目出しをされた。自戒の念を込め、適切な撮影方法を調べた。(長屋文太)

 柴山潟のコハクチョウは毎年十月から翌年三月にかけ越冬のため北極圏から飛来する。イネの根などの餌を求め、加賀、小松両市に広がる干拓地に来るため地元では冬場でも田に水を張っている。

 観察館によるとかつては夜になると、西に約九・五キロ離れたラムサール条約登録湿地の片野鴨池で羽を休めていたが、近年は九割が田んぼだけで過ごすようになってきた。移動に体力を使わなくても済むからだという。

写真
 ところがスマートフォンの普及で手軽に写真が撮れるようになり、部外者立ち入り禁止の農道など近くから撮影する人が増え、警戒心が強いコハクチョウをおびえさせている。撮影者が増えると、夜に数百羽が鴨池に戻ったまま、翌日になっても餌場の水田に姿を見せないこともあるという。

 観察館レンジャーの桜井佳明さん(31)は「餌を食べ続けていたら大丈夫。だが首を上げたら近づかないで」と話す。コハクチョウは異変を感じると、首を伸ばして周囲を警戒する。記者が撮影した写真は、まさにその姿。警戒心を強めるとよろよろ歩き始め、より危険を感じれば、飛び立つ。警戒が続いて食事を邪魔されるのは、大きなストレスになるという。

 では、どう撮影したらよいのか。桜井さんは「車から出ず、高性能のカメラで遠くから撮影してほしい」と説明する。コハクチョウは人の姿を怖がる半面、車にはそれほどおびえない。もちろん、車が集まりすぎれば、ストレスを与える恐れがあり、短時間で、百メートルほど離れた場所からの撮影を勧める。

 加賀市は農道入り口に、コハクチョウに近づかないよう訴える看板を三枚、設置。県内最大の飛来地である羽咋市の邑知潟でも、地元の住民団体が、注意を呼び掛ける看板を立てた。桜井さんは「毎日のようにマナー違反の撮影が続けば、飛来数が減る可能性がある。気を付けてほしい」と呼び掛ける。

コンテストで選考対象外に
 記者は農地所有者の許可を得ていたが、コハクチョウに警戒されていると知らず、農道で撮影していた。デジタルカメラの普及に伴い、野鳥の生態を知らない写真愛好者が増えたのを踏まえ、野鳥に悪影響を与えたとみられる作品を写真コンテストの選考対象から外す動きがある。

 日本野鳥の会(東京都)は「ワイルド・バード・カレンダー」の掲載写真を毎年募集するが、巣やひな鳥が写る作品は選考対象から除外する。人が営巣中の野鳥に近づくと、親鳥が巣を放棄する可能性があるからだ。野鳥を追い立て、餌付けした作品も同様だ。

 他団体主催の写真コンテストにも、マナー違反の作品が入賞しないよう、野鳥の会では、申し入れを強めている。同会ホームページで「野鳥撮影マナーブック」を公開し、マナー向上も訴える。普及室長の富岡辰先(たつゆき)さんは「野鳥に興味を持ってくれる人が増えるのはよいが、問題がある写真が取り上げられれば、野鳥の生態への悪影響を考えず、まねをする人が必ずいる。そんな作品は普及しないよう厳しく選別する必要がある」と話している。
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2019021502100012.html

https://megalodon.jp/2019-0215-2121-02/www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2019021502100012.html

コハクチョウ怖がらせないで 加賀市が注意喚起【北國新聞2019年2月8日】
のーんびり 羽休め中 柴山潟でコハクチョウ【中日新聞2019年2月6日】

posted by BNJ at 21:23 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: