2019年04月04日

SNS映え、野生動物の苦境 ライチョウつかんで撮影・人慣れするヒグマ【朝日新聞デジタル2019年4月4日】

登山者向けのサイトに投稿されたライチョウを手づかみした写真=環境省提供

 SNSが普及し、「インスタ映え」は流行語大賞にもなった。旅先で出会った動物をスマホで気軽に撮影し、すぐに友人らと共有できる。便利で楽しい半面、人目を引く写真を撮ろうと、野生動物にむやみに近づいたり、触れたりするなどエスカレートしている。SNSの普及により、野生動物保護の新たな問題が出てきた。

 「ライチョウをつかんだ写真が投稿されている」

 昨年7月、環境省信越自然環境事務所(長野市)にメールが届いた。

 写真を共有できる登山者向けのサイトに、富山県側の北アルプス・唐松岳で、何者かがひなを手づかみした写真が投稿されていた。

 ライチョウを許可なく捕まえるのは、種の保存法などに違反する行為だ。野生動物にとって、人につかまれるのは大きなストレスになる。また、親鳥が近くにいれば、つかまれたひなに気をとられている間に、他のひなをキツネなどに狙われる危険もある。

 信越事務所は富山県警などに相談したが、画像だけで違法性を証明するのは難しく、今回は法的対応を見送った。

 一方で、ライチョウを見つけても見守るよう呼びかけるカードを配るなど登山者への啓発に取り組んだ。福田真・自然保護官は「野生動物はペットと異なる。一定の距離を保ってほしい」と話す。

 北海道・知床ではヒグマの人慣れが問題化しており、SNSの影響も指摘される。

 知床で野生生物の保護や調査に取り組む知床財団は、2011〜18年にインスタグラムに投稿されたヒグマの写真約1万5千件を分析した。大半は動物園などで撮られたものだが、約1300件は知床で野生のヒグマを撮影したとみられる投稿だった。

 投稿は年々増加している。11年は数件程度だったが、「インスタ映え」が流行語大賞になった17年は400件超に。18年は11月中旬で600件を超えた。ヒグマにむやみに近づき撮影したとみられる画像もあるという。

 同財団の能勢峰(たかね)・研究員は「人が接近することで、ヒグマが人に慣れつつある」と指摘する。ヒグマの目撃情報の増加も、そんな状況をうかがわせる。知床半島の斜里町での年間目撃件数は10年ほど前は年間600〜800件程度だったが、15年以降は毎年1千件を超えている。

 能勢さんは「人とヒグマの距離が近づくことで、ヒグマによる事故や市街地への侵入など、トラブルが懸念される」と話す。

 ■「敬意抱き、節度を持って」

 海外でも同様の問題が起きている。

 英国の動物保護団体「ワールド・アニマル・プロテクション」の調査では、2014年からの3年間で、インスタグラムに投稿された野生動物との写真は4倍に増えた。うち4割超は抱きかかえたり、餌付けしたりするなど「不適切」なものだったという。

 北陸先端科学技術大学院大学の敷田麻実教授(観光学)は「スマホの普及で野生動物が表現の題材になった。より良い場面を撮影しようと観光客の行為がエスカレートしている。自然や野生生物に敬意を抱き、節度ある付き合い方が重要」と話す。

 また、観光客を受け入れる側の努力も問われると指摘。「人間と共存してきたから野生動物がその地域にいるという背景を事前に説明する機会を設けるなど、持続可能な形で見てもらう工夫が必要だ」と話している。(川村剛志)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13965010.html

http://archive.is/PBQ8M

posted by BNJ at 21:39 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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