2017年07月25日

支局長評論 下関 エミューがいる島 /山口【毎日新聞2017年7月25日】

 下関市吉見本町の港から渡船で約40分。緑に包まれた蓋井(ふたおい)島が見えてきた。漁業が中心の人口92人の小さな島は、街おこしのため、ダチョウに似た飛べない鳥、エミューを飼っている。

 港に着くと蓋井島自治会長の中村求(もとむ)さん(65)が待っていてくれた。漁業が本職の中村さんが、エミューを飼い始めたのは15年ほど前になる。当時は子どもが少なく、島を訪れた人から「さびしいから何か飼ったら」と声をかけられた。「それで休耕田も多いので飼うことになったんです」

 中村さんが運転する軽トラックで雑木林に囲まれた山道を10分ほど走ると、大きな空き地が見えてきた。木製の柵を入ると、エミューが集団でこちらに走ってくる。ぽん、ぽんという独特の鳴き声に褐色の穏やかな目、茶色の毛並み。近づいてもこわがる様子はない。中村さんが、用意したトウモロコシの粉をえさ箱に入れると盛んに首を伸ばす。今は島内3カ所で約40羽を飼育している。

 オーストラリア原産のエミューをどうやって育てるか。中村さんらはオーストラリアまで出向き、飼育方法を学んだ。そこで見たのが、脂肪から作るエミューオイルだ。先住民の秘薬だったとされるオイルは、切り傷や炎症の治療、保湿など幅広い用途で使える。試行錯誤の結果、10年前から販売を始めた。「当時は3人だったけど、今ではエミュー飼育部会を作り、島民のほとんどが入ってくれています」と中村さんは話す。現在は、受注生産をしている。

 島の売店で、小さな容器に入ったオイルが売られていた。試しに買って帰り、風呂上がりに乾燥した肌に付けると、すうっと浸透していく。

 「エミューがいる島を多くの人に知ってほしい」と中村さんは笑顔を見せた。元気に駆け回るエミューと質の高いオイル。響灘に浮かぶ小さな島には、他にはない魅力があふれている。<下関・反田昌平>

〔下関版〕
https://mainichi.jp/articles/20170724/ddl/k35/070/275000c

http://archive.is/ByXFI

タグ:エミュー
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2017年07月21日

支局長からの手紙 新事実に学び視野も幅広く /栃木【毎日新聞2017年7月21日】(那須どうぶつ王国/ライチョウ)

 宇都宮市内のベテラン小児科医から「最近の小児医療では、抗生物質を極力使わないようになっている」という話を聞いた。抗生物質はかぜの原因になっている「悪玉菌」を退治するだけでなく、身体に有用なさまざまな細菌も死なせてしまうことがある。

 医師の話を補強するようなエピソードが、昨年出版された「あなたの体は9割が細菌(アランナ・コリン著)」に書いてあった。腸内細菌のバランスの乱れが肥満、さまざまな病気、アレルギーの原因になっている可能性を指摘している。また、出生前に無菌状態の胎児は出生時、母親との接触が少ないと、必要な腸内細菌を母親から引き継げない。その対応策も紹介されていて、私には驚きの内容だった。

 これは動物でも変わらないのでは、と思い、那須どうぶつ王国の佐藤哲也園長に聞いてみると、その通りだという。同園が取り組んでいる、国の特別天然記念物で絶滅危惧種の「ニホンライチョウ」を育成する事業では、北アルプスのライチョウのふんから採取した腸内細菌を整える製剤を、ひなに与えていたそうだ。

 腸内細菌や腸内環境という言葉が日常的に使われるようになってからまだ日は浅い。新事実に驚くことも多い。ただ、新発見にふれると、あたかもそれがすべての解決策のように思えてしまう時があり、私は時々反省する。

 最初に登場した小児科医は「抗生物質は悪じゃない。必要があれば使うよ。使いすぎないということが大切なんだ」と、私に念を押した。ニホンライチョウのヒナ3羽が残念ながら死んでしまった那須どうぶつ王国の佐藤園長も「腸内環境は重要だが、今回の原因は別にある。研究しなければいけないことはたくさんある」と話した。

 新事実に目を向けながら、幅広い視野を維持しないと真実を見誤る。こう思うのはもう何度目だろう。【古田信二】
https://mainichi.jp/articles/20170721/ddl/k09/070/154000c

http://archive.is/wUqXy
新たにライチョウ受精卵 どうぶつ王国1個を受け入れ 栃木【産経ニュース2017年7月19日】
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2017年07月16日

(社説)コウノトリ ともに生きる環境を【朝日新聞デジタル2017年7月16日】

 国の特別天然記念物で、絶滅の危険性が極めて高いコウノトリが、人工繁殖を経た放鳥によって少しずつ増えている。自然に定着したつがいからヒナも生まれ、野外で生息するコウノトリは6月、100羽を超えた。

 コウノトリは、多様な生き物がすむ生態系がなければ、定着も繁殖もできない。里山の自然が保たれていることを示す生きた鏡と言える。この取り組みを持続させ、より多くの個体が大空を飛び回る環境にしたい。

 兵庫県豊岡市では、地元の人々と市、県が協力して飼育や繁殖に取り組んできた。野生復帰のための放鳥を始めたのは12年前のことだ。この間、46都道府県で飛来が確認された。

 背中につけた発信器から、福井県で放鳥されて列島各地を舞い、海を越えて韓国へ渡り、北朝鮮まで羽をのばしていたオスもいることがわかった。繁殖地も徳島県や島根県に広がった。

 コウノトリはかつて全国各地で人の身近にいた。だが、明治期から狩猟によって減り、戦時中は営巣するマツが燃料用に伐採され、行き場を失った。

 長いくちばしで水田や湿地にすむカエルやドジョウ、魚、昆虫など大量のえさを食べる。農薬の影響で戦後も生息数が減り続け、71年に野生の個体が消滅した。人間の活動が、絶滅の危機に追い込んだと言える。

 豊岡では半世紀前から人工飼育に取り組んだが、親鳥の体がえさを介して農薬に侵され、卵からヒナがかえらなかった。そこで地元の農家が「コウノトリもすめる町に」と、無農薬・減農薬の農法を始めた。雑草を根絶やしにせず、収量が大幅に落ち込まない程度ならあってもいい、と発想を転換させた。

 冬も田に水をはり、春はオタマジャクシが育つまで水を抜かない。一年中、生き物がいる水田づくりにも努めた。すると、コウノトリのえさのカエルが害虫を食べてくれ、里山の食物連鎖が戻り始めた。コウノトリの野生復帰を支える中で、地域の人々も健やかに暮らせる環境の大切さに気づいたという。

 兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園の山岸哲(さとし)園長は「人間は自分たちの都合で自然を改変し、多くの生き物を絶滅に追いやった。どうやって共生できるかをみんなで考えていきたい」と語る。

 環境省の今年のレッドリストで、絶滅のおそれのある「絶滅危惧種」の動物は1372種で、2年前より35種も増えた。

 在来の多様な生き物を守るため、里山の自然を取り戻し、保つ。それは多くの生き物の生息地を奪ってきた人間の責務だ。
http://www.asahi.com/articles/DA3S13039378.html

http://archive.is/59v12
タグ:コウノトリ
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2017年07月14日

出雲コーチンと地方創生【山陰中央新報2017年7月14日】

 島根初の地鶏ブランド化に向け、官民一体で挑む体制がようやく整った。6月に「出雲コーチン」の利用促進協議会が発足。第一歩を踏み出せたのは高校生の地道な取り組みがあったからだ▼明治時代から一部農家で飼われながら、生産者の減少で絶滅の危機に直面する中、2年前に出雲農林高校の生徒が「地元に昔からコーチンがいるのは面白い」と研究に着手。ふ化を試み、朝夕の餌やりや鶏舎の掃除などを毎日欠かさず世話を続けた。県畜産技術センターの関係者や精肉業者が「手弁当」で支え、現在は100羽以上になった▼県は本年度、協議会設置の予算を付けたが、畜産や観光の振興などさまざまな可能性を秘めた地域資源があるのは以前から分かっていたはず。これまで対策を打たなかったのは「なぜ」との思いがする▼課題はある。品質のいい鶏肉を産出するには最低でも1千羽程度まで増やす必要があるとされ、飼育技術確立や生産者確保がブランド化を左右する。鳥インフルエンザへの備えも必要だ▼全国ブランドの「名古屋コーチン」もかつて官民一体となって絶滅の危機を乗り越えた。できない理由を探すのではなく、関係者が目標と課題解決の道筋を明確にし、責任を持つことが重要になる▼地域資源を見つめ直し、生かすことこそが「地方創生」だ。特産化を夢見た高校生の努力と情熱をつないで実現すれば、子どもたちの故郷への思いも強くなるはずだ。逆に成功しなければ、落胆は大きい。大人の力量が試されている。(添)
http://www.sanin-chuo.co.jp/www/contents/1499997127604/index.html

http://archive.is/PPKf5
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産業春秋/鳥は“生ける恐竜”【日刊工業新聞2017年7月14日】

はるか昔、地上を制した恐竜は、隕石(いんせき)の衝突や地球環境の激変によって絶滅した―。この常識を覆したのが、恐竜の中の「獣脚類」が現生鳥類に進化したという近年の研究成果だ。今は主流の学説になった。

つまり鳥は“生ける恐竜”ともいえる。そう言われればニワトリの脚やかぎ爪などは、どこか恐竜を思わせる。一方で古代の恐竜に羽毛や体温があったという説もあり、鳥と恐竜のミッシングリンクを埋める化石が海外で相次いで発見されている。

ティラノサウルス・レックスに代表される巨大な恐竜が滅びながら、より小型の鳥が生き延び、今日のように繁栄したのはなぜだろうか。理由のひとつは飛行能力の獲得だといわれる。「飛ぶこと」が生存競争において有利に働いた可能性は大きい。

日本では長らく、恐竜学者と鳥類学者の活動領域は別々だった。それが最近は共同で会合を開くなど、互いに歩み寄って研究を深めている。

間もなく夏休み。週末から千葉、横浜など各地で『恐竜展』が開幕する。日常をしばし離れて、最新テクノロジーで復元した太古の時代にタイムスリップしてみてはいかが。気候変動の危機にさらされる現代の地球で、絶滅を避けるヒントを思いつくかもしれない。
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00435795

http://archive.is/2CAv1
タグ:鳥類進化
posted by BNJ at 11:38 | Comment(0) | 鳥類コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする