2018年10月16日

【行雲流水】(サシバを守る)【宮古毎日新聞2018年10月16日】

 日本自然保護協会主催の、サシバについてのセミナーは予定通り実施された

▼セミナーで久貝勝盛氏(宮古野鳥の会顧問)は、伊良部中学校のサシバ保護の歴史を語った。伊良部中学校は1981年県の環境教育モデル校の指定を受け、83年から、「サシバは友だちフォーラム」を開催するなど、学校・PTA・行政の連携のもと、保護活動を行い、サシバ密猟ゼロ達成に寄与した

▼山ア亨氏(アジア猛禽類ネットワーク会長)は、サシバの保護は人間の住みよい環境の保護であることを強調、フィリピンでは地域をあげての取り組みが2年で密猟を根絶したこと、その過程で久貝勝盛氏が講演を行うなど協力したことも紹介した。遠藤孝一氏(NPO法人オオタカ保護基金代表)は、市貝町の環境がサシバの生息に良く、生息密度が日本一であることを説明、生態系の保全と地域経済の連動を図る構想を語った

▼東淳樹氏(岩手大学農学部講師)は、サシバの生態や渡りのルート等について、解明されていることの概要と、さらなる研究の必要性を語った。出島誠一氏(公益財団法人日本自然保護協会副部長)は、サシバの飛来数の減少と、特に開発による環境の悪化を懸念、「伊良部島・下地島サシバ森づくり構想」を提起した

▼サシバ俳句コンテストでは、応募作品の多様さ、豊かさが注目され、サシバ保護活動が同時に、心と創造力を育んでいることを示した

▼折しも、当日、約2500羽(宮古野鳥の会推定)が伊良部島に飛来し、サシバと保護者たちが楽しく交歓した。(空)
http://www.miyakomainichi.com/2018/10/113113/

http://archive.is/lqND1

タグ:サシバ
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2018年10月12日

秋冬の多々良沼 多様な鳥、いつまでも【上毛新聞2018年10月12日】

 猛暑と豪雨、台風や北海道の地震で、亡くなられた方のご冥福を祈るとともに、けがをした方たちのお見舞いを申し上げます。人の心や自然が傷付いた夏も終わると、秋から冬へと季節は変わるが、果たして例年同様に冬鳥たちが来てくれるか心配になる。

 9月下旬になると水位の下がった多々良沼の中州に、シベリアなどの北極圏で繁殖活動した旅鳥でシギ科のアオアシシギ、ツルシギ、オジロトウネン、トウネン、タカブシギなどが越冬地の南半球などへ渡る途中に立ち寄る。長いものでは、1カ月以上も滞在するシギもいる。

 また、この時期は珍しいシギを撮るために大勢のカメラマンが集まり、沼の周囲がにぎわう。旅鳥とは、日本より北の地域で子育てをして、南半球などで越冬する鳥のこと。

 10月! 冬鳥たちの飛来が期待される時季である。カモ科のコガモやオナガガモ、カイツブリ科のカンムリカイツブリが沼の水面に見られるようになる。冬鳥ではないが、上空にはミサゴ科のミサゴが魚を捕まえるために水面にダイビングする光景が見られ、カメラマンたちの絶好の被写体となる。

 中旬になると、冬の使者といわれるハクチョウの飛来もあるだろう。周辺の草地や林などでは留鳥または漂鳥のホオジロ、メジロ、セッカ、モズなどが日ごとに数を増し、目にすることが多くなる。

 これからの季節、日を追うごとに気温が下がってくると、いつも見られるスズメやキジバト、ムクドリなどに交じって、本州では留鳥だが、北海道でも子育てをするヒヨドリ、冬鳥のジョウビタキ、オオジュリン、ツグミ、シメ、ベニマシコや留鳥のカワラヒワなどが沼の周辺で観察できる。

 沼の水面では、シベリア方面から渡ってきた冬鳥のカモやハクチョウなどでにぎわいを見せる。特にカモ科のミコアイサは白と黒の色模様がパンダのように見えるので人気があり、一度見たら印象に残るカモである。例年30〜50羽くらいが越冬する。

 この他、海鳥のセグロカモメはシーズン中観察でき、ユリカモメ、ウミネコは時々数羽飛来する。

 多々良沼では、毎シーズン飛来するマガンが数羽見られる。2017年12月から18年2月には、80羽を超すマガンが東方のねぐらから多々良沼に飛来してきた。

 こうして、多々良沼に飛来する鳥たちを見ていると季節感が分かる。しかし、近年は地球温暖化の影響とみられる変化があるように感じられる。

 これからの季節は、ハクチョウ見物の人たちや珍鳥などを追うカメラマンなどでにぎわいを見せる多々良沼に例年同様、鳥たちの飛来を願いつつ終わりたい。



前・日本野鳥の会群馬館林分会長 太田進 館林市松原

 【略歴】民間企業を退職後、日本野鳥の会群馬館林分会に入会。1996年から2017年5月まで同分会長。多々良沼自然公園を愛する会の世話人。館林市出身。
https://www.jomo-news.co.jp/feature/shiten/85341

http://archive.is/lQszD
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2018年10月10日

集団で暮らすペンギンは臆病な生き物…【西日本新聞2018年10月10日】

 集団で暮らすペンギンは臆病な生き物。魚を捕るために海に入らないといけないが、そこには恐ろしい天敵の動物もいる。えさを求めて移動した群れは、水際に来ると、ためらい、立ちすくんでしまう

▼その中で、思い切って最初に海に飛び込む一羽を「ファーストペンギン」と呼ぶ。それを見た仲間は、後を追って次々と海へ。最初の一羽が奮い起こした勇気が、群れ全体を救うことになるのだ

▼ことしのノーベル平和賞は「ファーストペンギンの勇気」がたたえられた。選ばれた一人は、過激派組織にさらわれ、性暴力を受けたイラク人女性のナディア・ムラドさん。過酷な体験を証言し国際社会に告発した。「声を上げられない人々の声になる」と、虐殺や性暴力の根絶を訴える姿は胸を打つ

▼もう一人は、紛争下のコンゴで性暴力を受けた女性らの治療や支援に取り組む男性産婦人科医デニ・ムクウェゲさん。武装勢力に命を狙われたこともあるというが、脅しに屈せず闘い続けている

▼ノーベル賞委員会は、今回の平和賞は昨年から世界に広がった「#MeToo」(「私も」の意)運動とも共通する、と。この動きも、最初にSNSで性被害を告発した米国女優の「勇気」から始まり、各国の女性たちが後に続いた

▼ファーストペンギンの勇気は、あらゆる分野で世の中を変える原動力になる。そして臆病な「日和見ペンギン」も奮い立たせてくれる。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/syunzyu/article/456377/

http://archive.is/o6eZC
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2018年10月07日

【湿地の消滅危機】防災にも欠かせない宝だ【高知新聞2018年10月7日】

 1970〜2015年の45年間で世界の湿地の35%が消えた―。水鳥など多様な動植物が生息する沼や干潟などの保全を目指すラムサール条約の事務局が、そんなショッキングな報告書を初めて発表した。
 乱開発などにさらされる森林の3倍の速さで消滅しており、事務局は「湿地が危機にひんしている」と警告する。条約には日本も加盟している。地域を脅かす深刻な「危機」として受け止めたい。
 「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」を正式名称とするこの条約は、1971年の採択から半世紀近くになる。各国が重要な湿地を登録し、保護区の設定などで保全に取り組む。
 米国や中国など170カ国が加盟し、湿地登録数は約2300に達する。湿地保全が国際的にいかに重要視されているかを示そう。
 日本は80年に加わり、これまでに北海道・釧路湿原など50カ所が登録されている。新たに東京都江戸川区・葛西海浜公園など2カ所が年内に認定される見込みだ。
 湿地の機能は多様な生物の保護や水質浄化だけではない。豪雨や河川から氾濫した水をスポンジのように吸い取る役割を発揮し、自然災害の緩衝帯として地域の防災・安全に貢献する。サンゴ礁やマングローブは津波の威力を抑えるという。
 世界各地で豪雨や震災、干ばつなどの大災害が増える中、湿地の防災力の重要度も増す。
 だが、都市化や工業化で埋め立てられ、さらに人口増に伴う水利用拡大や地球温暖化などで枯渇し、湿地は消滅してきた。条約事務局の報告書によると、中南米で59%、アフリカで42%、欧州やアジアで30%以上が失われた。
 事務局は「日本は保全が行き届いている例外的な国の一つ」と評価する。が、国内でも明治・大正時代から100年で6割以上減少し、なお減り続けているという調査がある。決して楽観はできない。
 国内で湿地の減少量が最も多いのは北海道で、東京都と千葉、埼玉両県は減少率が90%を超え、大阪府はほとんどなくなったとされる。農地開拓や都市開発を優先してきた世界共通の歴史と重なる。
 ラムサール条約の特徴は「保全・再生」のみをうたうのではなく、地域の生活や産業への「賢明な利用」を要請する。観光や農林漁業への有効活用を促し、そのための交流や学習を勧める。「自然と人間の共存」への追求といえよう。
 高知県内にまだ登録例はないが、環境省が2001年に選定した国内の重要湿地500カ所には室戸岬周辺沿岸や四万十市のトンボ自然公園などが選ばれた。どれもかけがえのない地域の宝であり、遺産だ。
 多面的な機能を持つ湿地を後世に引き継いでいかなければならない。公的機関による規制や管理のみに任せず、何より地域、住民がより関心を高め、保全活動に参加・寄与する機会を増やしていきたい。
https://www.kochinews.co.jp/article/221611/

http://archive.is/OFUrE
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2018年09月22日

鸛が運んでくるもの【ニュース和歌山2018年9月22日】

 見出しにある「鸛」という漢字、コウノトリ≠ニ読みます。いくつかの漢和辞典で調べると、この漢字の左側雚≠フ部分はクヮクヮと鳴く鳥の意味だとか。しかし、コウノトリはふ化から約70日、巣立つころには声帯が退化し、鳴けなくなります。代わりに長くて硬いくちばしをカスタネットのように打って、カタカタカタと音を出します。

 この漢字も、成鳥になると鳴けないことも、先月、初めて訪れた豊岡市にあるコウノトリの郷公園で教わりました。園内で飼育しているものに加え、午後3時前になると、周辺の木の上に、自然の中で暮らすコウノトリが続々と集まってきます。えさを積んだトラックがやって来る時間を知っているんです。翼を広げると2b以上。すぐ手の届きそうなところをダイナミックに飛ぶ姿は感動的でした。

 この施設で初代研究部長を務めた故・池田啓さんの著書『コウノトリがおしえてくれた』(フレーベル館)に、信じられない写真が載っています。1960年に豊岡市で撮影されたものですが、川の浅瀬で女性、その女性が連れた但馬牛、そしてすぐ側に12羽のコウノトリが一緒に写っています。コウノトリは全く警戒していないのか、女性と牛に背を向けています。共生する風景は日常的に見られたんだと想像します。

 国内で野生のコウノトリは71年に絶滅しました。その後、豊岡市では復活へ、農薬や化学肥料に頼らない米作りを進め、えさとなるドジョウやフナなどが通る魚道を造り、巣作り用の松を植えて…等々、様々な取り組みを重ねてきました。当然、労力は掛かります。しかし、コウノトリにとって幸せな環境は、人間にも安全で安心できる環境だとの信念で続けています。

 動物が警鐘を鳴らすケースはしばしばあります。最近では、ウミガメの鼻にささったストローを抜く痛々しい映像が衝撃的でしたが、海洋保全を目的に脱プラスチック製ストローの動きが見られます。動物たちの声に耳を傾け、解決方法を考え、実行する。その積み重ねのみです。

 西洋で赤ちゃんを運んでくると言われるコウノトリも、私たちの未来のために何が必要か、課題をくれています。絶滅したのは私たち人間が原因です。かつて日本中にいたコウノトリたちが、うれしさを表すためにくちばしを打ち鳴らす。そんな日を、私たちの手で取り戻さなくてはなりません。 (西山)
http://www.nwn.jp/column/180922_konotori/

http://archive.is/14DN1
タグ:コウノトリ
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