2018年12月02日

トキ放鳥10年 人との共生を実現できるか【読売新聞2018年12月2日】

 人と野生生物が、無理なく共生できる環境の整備を進めたい。

 新潟県の佐渡島で進められているトキの放鳥が10周年を迎えた。

 現在、約370羽が野生の下で生息する。放鳥されたトキが生んだ子供たちが過半数を占める。環境省は、2020年ごろに220羽を自然界に定着させる目標を掲げていたが、6月に達成した。

 順調な増加は、地元住民を始めとする関係者の協力の成果だ。

 淡い紅色の羽が特徴的なトキは、かつて東アジアに広く分布した。日本でも、あちこちで優雅な姿を見せていた。学名は「ニッポニア・ニッポン」だ。

 だが、羽毛を目的とする乱獲や、水田への農薬散布による餌の減少などで、生息数が激減した。水田を荒らす害鳥として、虐げられた時期もあった。佐渡島で03年に最後の野生のトキが死んだことで、日本産のトキは絶滅した。

 日本が発展する中で、あおりを食って消えた野生生物の代表だ。それだけに、復活事業は、自然環境再生の象徴的な取り組みとして注目されてきた。

 現在のトキは、中国から提供された5羽を元にする。人工繁殖を経て、放鳥を繰り返してきた。

 年1億円以上の国費が投じられているが、忘れてはならないのは、住民の手助けだ。農薬を減らし、冬も田に水を張って餌のドジョウなどを確保した。市民ボランティアも、トキの観察や餌をついばめる水辺の環境作りに携わった。

 絶滅した生き物を復活させるためには、多くの人々の力が必要であることを物語っている。

 生息数の増加で、トキの放鳥事業は、人との共生という新たな段階に入りつつあると言えよう。共生の実現に向けた工夫が、これまで以上に求められる。

 協力農家が栽培する米は、認証米として販売されている。そのブランド価値を高め、売り上げを増やすことが、生産者の意欲向上につながる。農家の高齢化が進む中、トキの増加に伴って水田の作付面積をどう増やすか、は難題だ。

 本州に飛来して定着するトキも、今後は現れるだろう。その際は、佐渡島でのノウハウを最大限に生かす必要がある。

 北海道鶴居村では、タンチョウの保全に力を注ぐ。兵庫県豊岡市でも、コウノトリを守る活動が盛んだ。個体数が回復するにつれて、生息地の確保や農作物への被害といった課題が顕在化している。

 情報を交換しながら、共生へのより良い方策を探りたい。
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20181201-OYT1T50145.html

http://archive.is/RhOmz

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2018年11月27日

新聞記者、銃をとる 新米猟師奮闘記/4 侮るなかれ カモの知恵 /滋賀【毎日新聞2018年11月27日】

作画・マメイケダ
 狩猟が15日、解禁となった。先行で解禁されたイノシシ、シカだけでなく、カモやウサギなども撃てる。本来の狩猟解禁である。私にとって今回はカモへのリベンジのシーズンである。昨年、狩猟シーズンの半ばから鳥撃ちを始めた私は「たかがカモ」とあなどったため、さんざん辛酸をなめさせられた。あの、卵より小さい頭でよくぞ考えるものだ、と舌を巻いた。頭の容積なら、こちらはおそらく100倍くらいあるだろう。なのに、ヤツらは私の想定外の知恵を発揮する。

 昨年、仲間とともに山の中の南北約300メートル、東西100メートルの池へカモ撃ちに行った。カモは南…
https://mainichi.jp/articles/20181127/ddl/k25/070/483000c

http://archive.is/TE6u6
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2018年11月24日

男の気持ち 北帰行 鹿児島県出水市・谷口歩(団体職員・47歳)【毎日新聞2018年11月24日】

 地元テレビ局の夕方のニュースに父が登場したことがある。インタビューの背景は初夏の青田である。例年だと3月末には一区切りがつく、鶴の北帰行から取り残された1羽の雄の発見者だった。画面に映る鶴は、羽がボサボサで泥まみれだ。

 父は日焼けした猫背のおじいさん。父もまた帰るべき場所に向かうタイミングを逃してぼうぜんとしている老人に見えた。

 その年の秋、テレビ局から譲り受けたDVDを見ている私の背後から父が声を掛けてきた。「スタイリストが…
https://mainichi.jp/articles/20181124/ddp/013/070/008000c

http://archive.is/XKnA6
タグ:出水
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コウノトリが運ぶ夢 諫早支局長 山本 敦文【西日本新聞2018年11月24日】

 諫早湾干拓農地(長崎県諫早市)にこの秋、国の特別天然記念物のコウノトリが白い翼を広げて舞い降りた。両足にリングが付いている。日本野鳥の会によると兵庫県豊岡市で放鳥された証しだという。

 豊岡市のNPOで、放鳥後のモニタリングを続ける「コウノトリ湿地ネット」事務局に連絡すると、職員の弾んだ声が返ってきた。

 「その子は6月にここを巣立って、一時は岡山県倉敷市にいたんですよ。でも西日本豪雨の後に行方不明になっていて…。良かった。無事だったんですね」

 「赤ちゃんを運ぶ鳥」と親しまれているコウノトリだが、国内の野生鳥は乱獲などで1971年に絶滅している。豊岡市は、その最後の生息地だった。屋内施設による人工飼育も試みられたが失敗。85年に旧ソ連から贈られた幼鳥を市の飼育員が育てて数を増やし、2005年に最初の5羽が試験放鳥されている。

 現地を訪ねた。日本海側の但馬地方、人口約8万人の街は山に囲まれ、円山川がゆったりと中心を流れる。

 コウノトリの生息地は人々の集落に接する里山だ。松林に巣を作り、田んぼや河川敷で魚やザリガニなどを長いくちばしでついばむ。野生復帰に合わせ、市は「コウノトリもすめる」環境を整えた。

 農家に委託して休耕田に水を張るビオトープ水田や無農薬米栽培を広げたほか、圃場(ほじょう)整備中だった水田を買い取り人工湿地を整備。01年に現在の中貝宗治市長が就任してからは取り組みが加速し、市の農林水産部は「コウノトリ共生部」に組織再編された。

 国や県も協力し、円山川の河川敷を掘削して湿地に変えたり、水田と水路を結ぶ魚道を整備したりした。

 「水田を荒らす害鳥だ」という反発もあったが、円山川下流域は12年にラムサール条約の保全湿地になり、今年10月には上流域へとエリアを拡張。その記念イベントが今月10日にあり、中貝市長は「今ある環境の保全は市が開発を禁止すればできる。だが、失われた環境の再生には多くの市民の対話と共感が必要」と強調した。市はコウノトリと人の共生を目指し、エコツーリズムなどを推進する「環境経済戦略」も掲げる。

 湿地ネットによると、野生復帰を果たしたコウノトリは現在約150羽。その半数が古里の豊岡盆地を離れ、全国各地の空を舞っている。

 諫早湾では潮受け堤防閉め切りで希少生物の宝庫だった干潟などの環境が失われ、長引く訴訟で「対話」は途切れたままだ。コウノトリの目にこの土地は、どう映ったか。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/weather_vane/article/468014/

http://archive.is/p4uay
タグ:コウノトリ
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2018年11月13日

行き場を失ったツル【宮崎日日新聞2018年11月13日】

 鹿児島県の出水平野に飛来したツルの今季初めての羽数調査が11月初旬に行われ、7779羽を確認した。10月18日に最初の2羽が到着、今月になって急激に羽数を増した。

 南日本新聞によると調査を実施したのは地元中学校のツルクラブ部員、県ツル保護会の総勢100人。夜明け前から荒崎、東干拓休遊地の計測ポイントに陣取って、ねぐらから飛び立つ群れを目視や双眼鏡で追いかけながら計数器を押し続ける作業は神経を使う。

 衆参両院予算委員会での審議で、野党側は入管難民法などの改正案による外国人労働者受け入れ拡大を「移民政策」と追及。安倍首相は「移民政策を採るわけではない。人手不足が過熱する中で新たな制度設計をしている」と答弁した。

 「移民政策」ではなく「新制度」と首相が主張するのは、移民に反対する保守層に配慮しつつ経済界や地方の要望に応える狙いがあるからだ。官邸筋は「移民を入れる、と言った瞬間に政権は行き詰まる」と予測する。さすがの首相もツルの一声でことを運べない。

 1952年、ツルの飛来地として国の特別天然記念物に指定された出水に、行き場を失ったツルがどんどん集まるようになった。すさまじい過密化によるリスクを減らすため分散化の努力も続く(ナショナル ジオグラフィック9月号)。

 日本で働きたい外国人と人口減で収縮する日本社会は、双方ともに利のあるウィンウィンの関係である。首相は神経をすり減らすほど見極めて決めなければならない。外国人労働者のための門戸をどのタイミングで、どれだけ開くか、を。
http://www.the-miyanichi.co.jp/kuroshio/_35523.html

http://archive.is/tRCCK
タグ:出水
posted by BNJ at 11:09 | Comment(0) | 鳥類コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする